食中毒の原因には、細菌からウイルス・化学物質・自然毒と、様々なものがあります。今回は、夏場に多く発生する「細菌性食中毒」の原因菌の種類と潜伏期間についてご説明します。食中毒を疑われた際、思い当たる食材と潜伏期間を覚えておくと、早めの対処が可能となり、感染拡大を防ぐことができます。
細菌性食中毒には「感染型」と「毒素型」があります。
食中毒菌に汚染された食品を摂取し、さらにそれらが体内で増殖することで発症します。特に魚介類や食肉、鶏卵などの生食は要注意です。代表的な菌に、ウェルシュ菌・腸炎ビブリオ菌・カンピロバクター菌などがあります。
食品内で細菌が産生した毒素を摂取することで発症します。加熱殺菌・低温保存等で毒素の繁殖を防ぐことが重要ですが、食品を加熱しても、熱に強い毒素が食品内に残ると食中毒が起こります。代表的な菌に、セレウス菌・黄色ブドウ球菌などがあります。
「感染型」の場合は、菌の種類により、数時間~1週間程度と、潜伏期間にかなり差があります。
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菌の種類 | 特 徴 | 潜伏期間 |
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ウェルシュ菌 | 作り置きカレー等の加熱不足で感染。 | 6〜18時間 |
腸炎ビブリオ菌 | 主に刺身などの魚介類から感染。 | 10〜20時間 |
カンピロバクター菌 | 鶏肉の生食や加熱不足で感染。 | 1〜7日間 |
腸管出血性大腸菌 (O157など) |
出血をともなう下痢があり、時に重症化による死亡例がある。 | 3〜9日間 |
「毒素型」の場合は、体内で菌が増殖していく「感染型」よりも早く発症する傾向があります。
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菌の種類 | 特 徴 | 潜伏期間 |
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セレウス菌 | パスタ類、食肉を使ったスープ類などから感染。 | 30分〜6時間 |
黄色ブドウ球菌 | 作り置きのおにぎりやサンドイッチ、弁当が発生源になることが多い。 | 2〜4時間 |
ボツリヌス菌 | 食肉・魚肉・発酵食品の他、缶詰やレトルト食品から感染することも多い。 | 4〜36時間 |
細菌性食中毒は、原因菌の増殖を防ぐ心がけ次第で、予防が可能です。食中毒菌はあらゆる場所に存在するため、ご家庭では、手洗いの徹底、食品の適切な管理と十分な加熱、リスクのある生食は避ける等を十分心がけて、食中毒を予防しましょう。