通常、消化に必要な「胃酸」と、胃粘膜を守る「胃粘液」の分泌量はバランスよく保たれており、胃酸によって胃粘膜が荒れるということはありません。しかし、さまざまな原因で胃酸が過剰分泌したり、胃粘液の分泌量が減ったりすると、胃粘液が胃粘膜を守り切れず、胃を傷めて胃炎を起こしてしまいます。
胃酸の過剰分泌の要因として、 ①睡眠不足などの生活の乱れ②暴飲暴食 ③喫煙、アルコール・カフェインなどの刺激物の摂取④仕事・家事・育児などによるストレスが挙げられます。
一方、胃粘液の分泌を減少させる要因のひとつとしては、解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)の常用が挙げられます。
そのため、処方薬ではよく解熱鎮痛剤と胃粘膜保護剤が一緒に出されます。
一般的なストレスや刺激物が原因で、胃粘膜が急性的な炎症を起こした状態。みぞおちがキリキリ痛んだり、食欲不振・吐き気などの症状があります。
約8割はピロリ菌の感染が原因といわれています。胃もたれ・胃痛・胸やけ・げっぷなどの症状が1ヶ月以上続く場合もあります。
長期間のストレスが原因で、日本人の4人に1人が発症するともいわれています。気分がふさぐ・のどがつかえる・胃痛・胸やけなどの症状があります。
さらに、過剰な胃酸分泌で胃や十二指腸の粘膜がえぐられたような状態になると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症します。
自律神経には、ストレスがかかるような緊張したときに優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経があります。それらの関係は一見逆に思えますが、胃酸の分泌は副交感神経が優位のときに盛んになります。その要因は、交感神経が優位の緊張状態は長く続くものではなく、時折副交感神経が強く優位になるときがあり、この反動時に胃酸が一気に分泌されてしまうためと考えられています。
胃はストレスに弱い臓器です。そのため、できるだけストレスを溜めないよう、適度な運動をしたり、しっかりと休息をとることが大切です。市販の胃腸薬には、胃酸分泌を抑える「H2ブロッカー」、胃液を中和する「制酸剤」、胃粘膜を保護する「胃粘膜保護剤」、胃の緊張を緩める「鎮痛鎮痙剤」等があります。ご自身の症状に合った成分を判断することが大切ですので、お気軽に薬剤師や登録販売者にご相談下さい。