高齢者は痰が絡まりやすい!
痰は、本来なら唾液と一緒に飲み込み、溜まることはありません。しかし高齢になると、気管が狭くなって飲み込みが悪くなり、痰が溜まって絡まりやすくなります。また痰が絡まったときも咳をして外へ出す力が弱くなり、自力で出せなくなる場合があります。
痰が絡まることの危険性
●呼吸困難
空気の通り道が狭くなり、息切れが起こります。肺にも空気が十分に届かず、血中の酸素濃度が低下して、息苦しさを感じます。
●感染症
痰の中に菌が溜まり、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
●生活の質の低下
咳が多くなり、疲労感や睡眠障害など生活に影響を与えます。
痰の色にも注意を!
普段の痰は無色透明ですが、気道や肺が炎症を起こすと色が変わることがあります。痰が出たら、健康のバロメーターとして色をチェックしておきましょう。
<痰の色で疑われる症状の例>
- 白く濁った色・・・・・・・・・気管支炎や気管支喘息
- 黄色・・・・・・・・・・・・・ウイルスや細菌による気道の感染症
- 緑・黄緑色・・・・・・・・・・緑膿菌の感染や蓄膿症
- 黒っぽい茶色、赤褐色・・・・・肺炎、肺結核、肺がん
- 鮮血が混じった色(喀血)・・・炎症が強いときに起こるため、すぐに医療機関を受診して下さい。
痰の予防と対策
痰の予防法
●乾燥を防ぐ
口内が乾燥すると痰が絡みやすくなるため、水分をよく摂り、加湿器を活用しましょう。
●塩水でうがいをする
200mlのぬるま湯に2gの塩を混ぜた塩水でうがいをすると、痰が柔らかくなります。
痰が絡んだときの対処法
●ハッフィング
強く早く息を吐くことで、痰を気道の上に移動させて出しやすくする方法です。
- ①大きく空気を吸う。
- ②声を出さず「ハッハッハッ」と強く息を吐き出す動作を、4~5回繰り返す。
- ③最後に咳をして痰を出す。
自己排痰法「ACBT(Active Cycle breathing Technic)」
呼吸の排気量を変化させることで、痰を出しやすくする方法です。1日に2~3回、疲れない程度に行いましょう。
- 1楽な姿勢で普段の呼吸を3回行い、呼吸を整える。
- 2大きく3回深呼吸する。
- 3大きく息を吸い、「ハーッ!」と勢いよく吐くことを3回繰り返す。
- 4咳を2~3回して痰を出す。