たばこを吸うと、ニコチンという化学物質が体内に取り込まれ、血中を通して全身に広がります。そして脳の一部を刺激することで大量のドーパミンが放出され、快感を生じさせます。そんなニコチンには強い依存性があります。たばこが吸えない状態が続くとイライラする・集中できない・不安を感じる・食欲が増すといったニコチンの離脱症状が現れ、繰り返し喫煙してしまう。その状態をニコチン依存症といいます。
喫煙はがんのリスクを高めることが明らかになっています。ニコチンそのものに発がん性は認められていませんが、ニコチンが体内で分解・代謝される際に発生するニトロソアミン類に発がん性があるとされています。たばこの煙にはニコチン・タール・一酸化炭素など70種類以上もの発がん物質が含まれており、体のさまざまな部位で発症するがんの原因になることがわかっています。また妊娠中の方が喫煙すると早産や流産の原因となる可能性があります。
喫煙者が肺がんで死亡するリスクは、非喫煙者に比べて男性4.5倍、女性2.3倍という結果が報告されています。
喫煙習慣がある人も、禁煙して5年以上経つとたばこを吸わない人と同じくらいまで病気を引き起こすリスクを減らすことができるといわれています。はじめはニコチンの離脱症状が現れますが、禁煙補助薬を活用しそれらの症状を緩和させましょう。最近は禁煙外来も増えてきており、医師と一緒に取り組むことで禁煙成功率も高まります。まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
一定の条件を満たせば健康保険を使って禁煙治療を受けることができますよ。
たばこを吸わない人が、身の回りのたばこの煙(副流煙)を吸ってしまうことを受動喫煙といいます。煙に含まれる有害物質の中には、喫煙者が吸う煙より、副流煙の方に多く含まれるものもあります。最近は煙が出ない新型たばこも増えていますが、紙たばこより低濃度とはいえさまざまな有害物質が含まれており、注意が必要です。