長い期間アルコールを多量に摂取した結果、自分で飲酒のコントロールができなくなることをアルコール依存症といいます。そして「お酒を飲まずにはいられない」「少量では酔えず多量に飲んでしまう」「仕事や私生活に支障をきたしてもまだやめられない」といった状態になってしまいます。かつてアルコール依存症は、意志の弱い人やだらしのない人が陥るもの、という認識がもたれていました。しかしこれは脳の仕組みによる病気であり、お酒の飲み方を誤ると誰でも発症する可能性があります。
飲酒渇望
自分でコントロールできないほど、強い飲酒欲求をもちます。飲酒にふさわしくないような場面でもお酒を飲んでしまう、一度に多量に飲んでしまうといった状況が頻繁にみられます。
離脱症状
体内のアルコール量が減ってくると、手の震えやけいれん、多量の発汗、イライラ、不眠などの症状が現れます。症状が進むと幻覚や軽度の意識障害などがみられることもあります。
専門医のもとで治療を
専門医による治療計画をもとに、断酒を目指したカウンセリングや薬物療法などが行われます。まずは自分自身がアルコール依存症であることを認識することから始め、離脱症状に対処するための治療が進められます。徐々に精神が安定し、飲酒をしなくても日常生活が送れるようになることを目指します。
家族や周囲も協力を
治療を成功させるためには家族や友人など周囲の協力が不可欠です。自助グループなど外部の力を借りるのも良いでしょう。回復可能な病気であることを理解し、患者に寄り添うことが大切です。
アルコール依存症にならないために、週2日の休肝日をつくる・空腹時の飲酒は避ける・アルコール度数の高いお酒は水割りにするなど、お酒と上手に付き合いましょう。
アルコール中毒は、急性と慢性に分けられます。急性アルコール中毒は、短時間に多量のアルコールを摂取した場合に起こり、意識消失や呼吸抑制、最悪の場合、死に至るケースもあります。慢性アルコール中毒は、長期間にわたって大量のアルコールを摂取することをいい、アルコール依存症は慢性アルコール中毒の一種です。