ある日突然、頭にコインのような形と大きさの脱毛部位を見つけて驚いたという経験はありませんか?その症状のほとんどが円形脱毛症です。まれに脱毛が起こる前にかゆみを感じる場合もありますが、何の前触れもなく脱毛に気づくことが多いです。進行が止まれば、多くの場合は自然治癒していきますが、重症になると進行が止まらず、脱毛部位がどんどん拡大したり、複数できたりすることもあります。
円形脱毛症の原因にはさまざまな説があり、近年では毛根組織に対する免疫異常である「自己免疫疾患」を原因とする説が有力です。自己免疫疾患とは、外部からの侵入物を攻撃する免疫系機能に異常が生じ、自分の体の一部を異物とみなして攻撃してしまう病気です。免疫機能異常は、疲労・感染症などによる肉体的・精神的なストレス、体質的な素因が一因と考えられています。
円形脱毛症は、橋本病(慢性甲状腺炎)に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、関節リウマチ等の自己免疫疾患と併発する場合があります。また、円形脱毛症になりやすい体質もあり、そのような人は改善しても再発することが多いようです。
最近の研究調査では、円形脱毛症患者の8.4%ほどに、家族にも円形脱毛症歴があり、さらに一卵性双生児においては片方が発症した場合、もう片方の発症率は55%と高率であることから、遺伝も関わっていると考えられます。
男性型脱毛症(AGA)は、頭頂部や前頭部の生え際から髪が後退してくることが特徴ですが、髪の毛が完全には抜けず、産毛のような毛が残っていることが特徴です。男性型脱毛症の場合は、病気ではなく容貌変化のひとつとして捉えられています。このため、脱毛“症”と呼ぶのは不適切とする専門家の意見もあります。
一方、円形脱毛症は皮膚疾患のため、保険適用で治療ができます。皮膚科で相談してみましょう。