めまい・耳鳴りの症状を、同時に訴える方がしばしばいます。これは、めまいも耳鳴りも同様に、耳の奥にある内耳という器官で起きた障害が原因であらわれることが多いためです。
内耳は、聴覚をつかさどる蝸牛と、平衡感覚をつかさどる三半規管、耳石器で構成されています。蝸牛は音を電気信号に変換し脳へと伝達します。三半規管の中はリンパ液で満たされており、体が傾くことで生じたリンパ液の動きを感知すると、それを電気信号に変換し、脳へ情報を送ります。一方、耳石器は主に重力を感知する働きをしています。
蝸牛の内部には、有毛細胞という感覚細胞があります。なんらかの原因によって、この有毛細胞の機能が衰えると、「音の聞こえ」に支障が出ることに加え、実際には「聞こえていない音」が「聞こえている」かのように、誤った電気信号が脳に送られることがあるといわれています。
めまいは脳の異常を心配される方が多いと思いますが、「ろれつが回らない」「顔や手足がしびれる」といった、めまい以外の症状がないときは、まず耳鼻咽喉科を受診することをおススメします。
内耳障害が原因でめまい・耳鳴りが起こる病気の代表的なものに、メニエール病があります。メニエール病はストレスや疲労をきっかけに、激しいめまい・耳鳴りが起こる病気です。メニエール病の原因は、内リンパ水腫(むくみ)とされています。
メニエール病の主な症状
内耳障害の治療には、「ビタミンB12製剤」や「ATP製剤」、「血流促進剤」などが用いられるほか、「抗めまい薬」や「抗不安剤」、「ステロイド剤」が処方されることもあります。また、メニエール病の治療では、内リンパ嚢開放術と呼ばれる外科的な治療や、中耳の気圧を変化させる中耳加圧療法が行われることもあります。