皮膚に赤みや湿疹などの症状はみられないのに、かゆみだけが起きる皮膚の病気を「皮膚掻痒症」といい、特に高齢者に起きるものは「老人性皮膚掻痒症」と呼ばれています。特に50代以降の男性に多く発症するとされています。
皮膚の乾燥により、徐々に皮膚の表面を覆う皮脂膜や、その下の角質層の脂分が減り、水分の蓄えが少なくなってきます。すると、皮膚のバリア機能が弱まってしまうため、外部刺激に対して敏感に反応するようになり、かゆみが生じます。さらに、かくことによって刺激が増し、よりかゆみが強くなるという悪循環に陥ります。
皮膚掻痒症は、「肌がカサカサして白っぽく見える」「かゆみで夜眠れない」「かきむしって皮膚が赤い」等の症状を特徴とします。まずは、安易にかかないようにすることが大切です。かくことを避けるため、たたく・さすることも刺激になるので避けましょう。我慢できないようなかゆみがある時は、冷やしたタオルを当てると症状が緩和しますが、あまり長時間冷やし過ぎると、その反動で症状が悪化することもあるので注意が必要です。
かゆみの原因は肌が乾燥していることなので、基本的に、肌の乾燥を防ぐことが重要です。ワセリンなどを始め、ご自身の肌に合った保湿剤を選び、適切な保湿ケアを毎日行いましょう。肌のカサカサが目立つ場合には、低濃度の尿素入りクリームが効果的です(注1)。また、室内の乾燥対策も欠かせません。加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したりするなどして、室内の加湿を行いましょう。
※注1…高濃度の尿素入りクリームは、皮膚が薄い顔や、ひび・あかぎれのある肌に使用すると、作用が強過ぎて症状を悪化させる場合があります。