徘徊とは?
徘徊は認知症の方にみられる症状で、家の中や外を歩き回り、ときには転倒や交通事故などにつながる危険な行動です。記憶力・認識力の低下や不安・ストレスなどが原因です。
夕方から夜間に悪化しやすい理由
徘徊などの行動・心理症状は、夕方から夜間に悪化しやすく、「夕暮れ症候群」とも呼ばれています。
認知症の方は、体内時計を調整する視交叉上核の神経細胞が減少し、生活リズムが乱れやすくなります。閉じこもりによる昼間の活動量の低下などにより昼夜逆転の生活になり、夕方から夜間に徘徊が悪化しやすくなります。
家族や周囲が気をつけること
徘徊には本人なりの理由がある場合が多いので、その気持ちを理解して受け入れることが大切です。ストレスになっていることがないか、よく観察しましょう。否定したり責めたりすると症状の悪化につながることがあるので注意が必要です。
徘徊で困ったときの対処法
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「家に帰る」と言い出したとき
帰りたい理由を聞き、何か不安を感じている場合は優しく解消してあげましょう。お茶に誘うなど他のことに関心をそらすのもよいでしょう。
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同じコースを歩き続けるとき(周徊)
原因や目的がはっきりしない周徊は、無理に止めずに歩かせてあげることも大切です。安全に歩けるよう配慮し、できるだけ付き添ってあげましょう。
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夜間に外へ出ていこうとするとき
徘徊防止用の鍵を活用したり、玄関にセンサーを設置するなどの対処が必要です。昼間に散歩に出かけて活動量を増やし、生活リズムを整えることも効果的です。
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行方不明になってしまったとき
速やかに警察に届け出ましょう。近くの交番や警察署に顔写真と住所・氏名を届けておくと保護されたときに速やかに連絡がとれます。
徘徊の効果的な予防法
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昼間に適度な運動をする
ラジオ体操や散歩など、昼間に適度な運動を取るように心がけましょう。ほどよく体が疲れて夜に眠りやすくなることで、夜間の徘徊の予防につながります。
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地域包括支援センターへ相談する
近くの地域包括支援センターにあらかじめ相談しておくとよいでしょう。自治体によっては認知症の人を見守るためのネットワークを構築しているところもあります。事前の登録や準備が必要な場合があるので、まずは問い合わせてみてください。
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GPS端末を活用する
GPS端末を身につけておけば、姿が見えなくなってもすぐに位置を確認できます。本人が持つのを嫌がる場合もあるので、よく身につける服や持ち物に忍ばせるのがよいでしょう。腕時計型や靴型タイプもあります。
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老人ホームやデイサービスを利用する
症状が悪化して家庭内での介護が難しくなった場合は、老人ホームやデイサービを利用する方法もあります。徘徊のリスクや介護の負担を軽減するためにも、検討してみるのもよいでしょう。大切なのは、介護する・される側が互いに無理をしすぎないことです。