日本人の3人に1人がかかっているといわれている痔。命に関わる病気ではありませんが、重症化すると手術の対象になる場合もあります。恥ずかしいからと放置せず、心配な症状があるときは早めに受診しましょう。
痔とは、肛門や肛門周辺に起こる病気の総称で、以下の3種類が三大疾患といわれています。
①いぼ痔(痔核)
肛門にいぼのような腫れができる。排便時などに肛門に負荷がかかり、肛門付近がうっ血して起こる。いぼが肛門の内側にできる内痔核と、外側にできる外痔核がある。
対処法
出血が止まりにくい場合はティッシュなどで肛門を圧迫するように抑えましょう。入浴時に湯船で患部を温めると痛みが和らぎます。
②切れ痔(裂肛)
肛門の出口付近の皮膚が切れた状態。硬くなった便の排出や下痢便の勢いなどで肛門の外壁を傷つけることで起こる。出血は少ないが、強い痛みを感じることが多い。
対処法
患部を温めることで痛みが和らぎますが、入浴できないほど激しい痛みの場合は下着の上から使い捨てカイロを当てましょう。
③痔ろう
肛門に細菌が入って肛門内が化膿し、直腸と肛門周辺の皮膚に膿のトンネルができる。腫れてズキズキと痛み、発熱することもある。
対処法
うつぶせの状態で患部にタオルを置き、冷やすと痛みが和らぎます。市販薬で治すことはできないため、医療機関で治療しましょう。
●便秘・下痢を防ぐ
便秘の場合は1日3食栄養バランスのとれた食事を心がけ、とくに食物繊維を多く摂取しましょう。下痢の場合は冷たい飲み物を控え、体を冷やし過ぎないよう注意して下さい。
●排便の仕方に注意
便意を感じたときだけトイレに行くようにし、排便は短時間で自然にするよう心がけて下さい。いきんで無理に出しきろうとするのは禁物です。
●肛門に負担をかけない
長時間座りっぱなしでいることは避け、ときどき立ち上がって軽い体操などをしましょう。アルコールやタバコも控えて下さい。
妊娠中や出産後はおしりのトラブルが多いといわれています。妊娠中、子宮が大きくなるにつれて周りの血管や腸を圧迫し便秘になりやすくなります。また出産時のいきみでおしり周辺にかかる負担が痔の原因となる場合もあります。
「もしかして痔かな?」と感じたら、一人で悩まず早めに医療機関を受診して下さいね。