痔とは、肛門と肛門周辺の病気の総称です。「日本人の3人に1人は痔に悩んだことがある」といわれるほど、たいへん身近な病気のひとつです。直立歩行をする私たち人間は、おしりが心臓よりも低い位置にあるため、肛門付近がうっ血しやすく、痔になりやすい傾向にあります。
直腸(粘膜)と肛門(皮膚)の境目。
歯状線のところにあるくぼみ。
肛門を閉じる働きをする筋肉で、内括約筋と外括約筋がある。
網目状に広がった血管があり、弾力性に富んだ部位で、肛門をピタリと閉じる役割がある。
大きく分けて、以下の3種類があります。
肛門に強い負担がかかることによって、肛門クッションが脹れた状態。内痔核と外痔核がある。
硬い便の排泄や、下痢の繰り返しなどにより、肛門が切れた状態。
肛門陰窩から細菌が入り込み膿が溜まっている状態。
痔患者の男女比は3：2程度と、男性が多くなっています。半数以上を占めるのが痔核(いぼ痔)で、これに男女差はとくにありませんが、痔瘻は男性に多く、裂肛は女性に多くみられます。女性は便秘がちであったり、妊娠・出産でお尻に負担がかかりやすく、裂肛になりやすい傾向があります。ただし、女性はなかなか相談しにくい面もあり、実際にはもっと多いのかもしれません。痔瘻は癌との関連性もあり、要注意です。
トイレで強くいきむ、辛い食べ物など刺激物を食べる、長時間座りっぱなしの仕事をしているなど、おしりに負担のかかる食生活や生活習慣が、痔の発症や症状の悪化に大きく影響します。痔になったことのある方は、入浴時に症状の緩和を感じたことがあると思います。これは肛門付近のうっ血が改善されるためで、とくに冬場は、椅子に座布団を敷く、カイロなどを上手に使用して温めることも有効です。
