日中、眠気に襲われることは誰にでもあります。しかし、時間や場所に関係なく強烈な眠気が繰り返し起こる「ナルコレプシー」という病気があります。本人の意思に関わらず眠ってしまうので日常生活に支障をきたし、事故のリスクもあります。改善には、薬での治療と生活習慣の見直しがポイントです。
はっきりとした原因はわかっていませんが、脳内のオレキシンという神経細胞が働かなくなることによって起こると考えられています。
オレキシンは、脳の覚醒状態を維持する作用があります。しかし何らかの原因で、日中にオレキシンが分泌されなくなったり不足することで脳が覚醒を維持できなくなり、強烈な眠気が起こります。10代~20代の発症が多いのが特徴です。
睡眠発作
食事中など通常では考えられないような状況でも眠気に襲われ、自覚なく眠ってしまう。
情動性脱力発作
感情が高ぶったとき、急に全身の力が抜け、その場に倒れこんでしまうこともある。
睡眠麻痺
金縛りとも呼ばれ、眠りがけや起きがけに、目はあけられるのに体が動かなくなる。
入眠時幻覚
就床後まもなく、鮮明で現実感のある怖い夢をみてしまう。(人の気配を感じるなど)
熟眠障害
目が覚めやすく深い眠りが少ないため、熟眠感が得られない。
根本的な治療法は見つかっていませんが、薬の服用などにより症状を改善することは可能です。治療には、中枢神経刺激薬や抗うつ薬など、症状に合わせた薬を服用します。眠気が強くて心配な方は、精神科や睡眠障害専門の医療機関に相談しましょう。
ナルコレプシーは日中に眠気を引き起こす病気なので、「怠け者」「やる気がない」など誤解されるケースや、思わぬ事故につながる危険性もあります。しかし適切な診断と治療を受けることで、日常生活をほとんど支障なく送ることができます。家族・友人・先生・同僚など、周囲の人に病気について説明し、理解してもらいましょう。